○御嵩町子どもの笑顔づくり条例
平成26年3月27日
条例第11号
全ての子どもは、町の宝であり、笑顔いっぱいで、心身ともに健やかに成長することは、全ての町民の願いです。
しかし、昨今、大きな社会問題になっているいじめは、子どもの笑顔を奪い、心身の健やかな成長を妨げるものです。このようないじめを未然に防止するとともに、いじめの早期発見や組織的な対処に取り組み、子どもの笑顔づくりに努めることは、全ての町民の責務です。
ここに、子どもの笑顔づくりを目指し、いじめの未然防止及び解決を図るための基本理念を明らかにして、そのための施策を推進するために、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、いじめが子どもの笑顔を奪う大きな要因の一つであるとの考えに立ち、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」といいます。)の趣旨を踏まえ、いじめの未然防止及び解決を図るための基本理念及び責務を明らかにするとともに、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境を作ることで、子どもの笑顔があふれる町づくりを推進することを目的とします。
(1) いじめ 子どもに対して、一定の人間関係のある他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含みます。)で、子どもの心や体が傷ついたり、被害を受けて苦しんだりすることをいいます。
(2) 子ども 小学生、中学生及び高校生並びにこれらに準ずる者をいいます。
(3) 町立学校 町立の小学校及び中学校をいいます。
(4) その他の学校 前号に規定する町立学校以外の学校で、町内の小学校、中学校及び高等学校をいいます。
(5) 保護者 親権を有する者、未成年後見人その他の子どもを現に監護する者をいいます。
(6) 町民 町内に居住し、通勤し、又は通学する者をいいます。
(7) 事業者等 町内で事業を行う個人、団体及び法人をいいます。
(8) 関係機関等 警察、子ども相談センターその他の子どもの問題に関係する機関及び団体をいいます。
(基本理念)
第3条 子どもの笑顔づくりのためには、どの子どもにも、どの町立学校及びその他の学校(以下「学校」といいます。)でもいじめが起こりうるという認識のもと、全ての子どもが安心して学習等に取り組み、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにしなければなりません。
2 いじめは、どの子どもも被害者にも加害者にもなりうるという認識のもと、他の子どもに対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないよう、全ての子どもが自分自身の問題として理解を深めなければなりません。
3 いじめ問題の解決は、いじめが、子どもの心と体に深刻な影響をもたらし、子どもの尊厳をも脅かすという認識のもと、町、学校、保護者、町民及び事業者等が、それぞれの責務を自覚し、主体的かつ積極的に連携して行わなければなりません。
(町の責務)
第4条 町は、いじめが子どもの笑顔を奪う大きな要因であるとの考えに立ち、その未然防止及び解決を図るため、必要な施策を総合的に講じ、必要な体制を整えなければなりません。
2 町は、子どもをいじめから守るため、関係機関等と緊密な連携を図らなければなりません。
3 町は、いじめの未然防止や相談制度等について必要な広報その他の啓発活動を行わなければなりません。
(町立学校の責務)
第5条 町立学校は、命を大切にする心、人権を守ろうとする心、公共心及び道徳的実践力を育成しなければなりません。
2 町立学校は、いじめの未然防止、早期発見及び組織的な対処に向けて、体制を整えなければなりません。
3 町立学校は、子どもが安心して相談できる環境を整えなければなりません。
4 町立学校は、在籍する子どもの保護者及び関係機関等と連携を図り、いじめの未然防止に取り組むとともに、いじめを把握した場合は、その解決に向け速やかに対応し、その内容を町へ報告しなければなりません。
5 町立学校は、子どもがいじめの問題について主体的に考え行動できるよう、それぞれの学年に応じた学級の環境づくりに取り組まなければなりません。
6 町立学校は、子どもがよりよい人間関係を構築できるよう必要な取り組みを行い、子どもの笑顔づくりに務めなければなりません。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、笑顔いっぱいの家庭を育むとともに、子どもの心情の理解に努め、なんでも話せる関係を構築することで、いじめの未然防止及び早期発見に取り組むものとします。
2 保護者は、いじめが決して許されない行為であることを子どもに十分理解させるものとします。
3 前2項において、保護者は、必要に応じて町又は学校に相談その他の支援を求めることができます。
4 保護者は、いじめを発見し、又はいじめの疑いを認めた場合には、速やかに町、学校又は関係機関等に相談又は通報(以下「相談等」といいます。)を行うものとします。
5 保護者は、学校が行ういじめの未然防止及び解決に対する取り組みに協力するものとします。
(子どもの役割)
第7条 子どもは、お互いに思いやり、支え合い、いじめのない笑顔いっぱいの明るい生活に努めるものとします。
2 子どもは、いかなるときもいじめを行ってはなりません。
3 子どもは、いじめを受けた場合には一人で悩まず家族、学校、友達又は関係機関等に相談するものとします。
4 子どもは、いじめを発見し、又はいじめの疑いを認めた場合、並びに友達からいじめの相談を受けた場合には、家族、学校、町の相談窓口又は関係機関等に相談するものとします。
(町民及び事業者等の責務)
第8条 町民及び事業者等は、それぞれの地域において子どもの見守り、声かけ等を行うとともに、地域が連携して子どもが安心して過ごすことができる環境づくりに努めるものとします。
2 町民及び事業者等は、いじめを発見、又はいじめの疑いを認めた場合には、町、学校又は関係機関等に情報を提供するよう努めるものとします。
(相談体制の整備)
第9条 町は、いじめに関する相談等に対し速やかに対応するとともに、全ての子ども、保護者その他いじめの防止に関わるものが安心して相談等ができるよう、いじめに関する相談体制を整えるものとします。
2 町は、いじめを未然に防止し、いじめから子どもを守るため、いじめに係る情報の一元化を図り、関係機関等との相互の連携及び迅速かつ適切な対応ができるよう組織体制を強化するものとします。
3 町は、町立学校におけるいじめに係る相談体制の充実のため、教育相談員、スクールカウンセラー等の配置に努めるものとします。
(いじめ未然防止委員会)
第10条 町は、町立学校におけるいじめを防止するための対策を実効的に行うため、教育委員会の附属機関として、いじめ未然防止委員会(以下「未然防止委員会」といいます。)を置きます。
2 未然防止委員会は、教育委員会からの諮問に応じるほか、いじめに関する相談等を受け、教育委員会の依頼に応じ、法第24条に規定する必要な調査、並びに当事者の関係の調整、町立学校への指示及び支援並びにいじめを受けた子ども及びその保護者に必要な支援を行い、いじめの問題の解決を図るものとします。
4 教育委員会は、未然防止委員会に、法第28条第1項に規定する重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行わせることができます。
5 教育委員会は、前項の調査結果について、いじめを受けた子ども及びその保護者に対して、適時、適切な方法で調査の進捗状況及び調査結果を説明するものとします。
6 教育委員会は、第2項の諮問を行った場合及び未然防止委員会がいじめに関する相談等を受けた場合は、遅滞なく町長に報告をするものとします。
7 教育委員会は、第4項の調査を行った場合は、その進捗状況又は結果を町長に報告するものとします。
(未然防止委員会の組織)
第11条 未然防止委員会は、委員5人以内をもって組織します。
2 未然防止委員会の委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱し、又は任命します。
(1) 臨床心理士等子どもの発達及び心理等についての専門的知識を有する者
(2) 学識経験を有する者
3 未然防止委員会の委員の任期は、2年とします。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
4 未然防止委員会の委員は再任されることができます。
5 未然防止委員会は、いじめ防止のため、必要に応じて専門家の意見を聴くことができます。
(いじめ等調査委員会)
第12条 町は、法第28条第1項に規定する重大事態への対処及び同種の事態の発生を防止するため、町長の附属機関としていじめ等調査委員会(以下「調査委員会」といいます。)を置きます。
2 調査委員会は、町長が必要と認めるときは、法第28条第1項の規定による調査の結果について再調査を行うほか、その他必要な調査を行うことができます。
3 調査委員会は、前項の結果を踏まえ、再発防止に関する提案をすることができます。
4 町長は、第2項の調査結果について、いじめを受けた子ども及びその保護者に対して、適時、適切な方法で調査の進捗状況及び調査結果を説明するものとします。
5 町長は、第2項に基づく再調査の結果について、議会に報告するものとします。
(調査委員会の組織)
第13条 調査委員会は、委員4人以内をもって組織します。
2 調査委員会の委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱し、又は任命します。
(1) 弁護士
(2) 学識経験を有する者
(3) 精神科医等心理や福祉の専門的知識及び経験を有する者
(4) いじめの事案を考慮し、必要と認められる専門的知識や経験を有する者
3 調査委員会の委員の任期は、2年とします。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。
4 調査委員会の委員は再任されることができます。
5 前各項に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に規則で定めます。
(再発防止策の要請)
第14条 町長は、第12条第3項に基づく提案を受け、必要があると認めるときは、関係者に対して具体的な再発防止策の要請を行うものとします。
2 再発防止策の要請を受けたものは、これを尊重し、必要な措置をとるものとします。
3 町長は、再発防止策の要請を行ったときは、その後の経過の確認を行い、その結果を調査委員会に報告するものとします。
(未然防止委員会及び調査委員会への協力)
第15条 町立学校、保護者、町民、子ども及び事業者等は、未然防止委員会及び調査委員会の調査に協力するものとします。ただし、未然防止委員会及び調査委員会(以下「委員会」といいます。)が行う子どもへの調査については、子どもに過度な負担が生じないよう最大限配慮しなければいけません。
(個人情報の取扱い等)
第16条 町は、この条例の施行にあたり知り得た個人情報の取扱いに万全を期するものとし、当該個人情報をいじめの防止に関する業務の遂行以外に用いてはいけません。
2 委員会の委員は、正当な理由なく、職務上知り得た秘密を他に漏らし、自己の利益のために利用し、又は不当な目的に利用してはいけません。その職を退いた後もまた同様とします。
3 いじめに関する相談等に関係した者は、正当な理由なく、その際に知り得た個人情報を他に漏らしてはいけません。
(表彰)
第18条 町は、子ども、保護者、町立学校が一体となって、子どもが安心して生活し、学ぶことができる環境づくりを積極的に推進することで、町立学校が笑顔であふれていると認めた場合は、これを表彰することができます。
附 則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。